「めまいがあるけど、これって熱中症の初期症状かな…」
「熱中症対策や予防法はどんなものがあるの?」
熱中症は重症になると命にかかわることもある危険な病気です。初期症状では気付きにくいこともあり、どんな症状が熱中症なのか不安に感じる人も多いのではないでしょうか。私も初期症状で気づかずに状態が悪化してしまった患者をみてきました。
しかし、熱中症の症状に早く気づき対処することで重症化を防げます。大切なのは熱中症について正しく理解をして、対策や予防をすることです。
本記事では熱中症のレベル別の症状や対策・予防について、総合病院での看護師歴7年の百田がわかりやすく解説します。
この記事を読めば熱中症について深く理解でき、対処や予防ができるようになるでしょう。
熱中症のレベル別の症状
熱中症には初期段階から命にかかわる重いものまでいくつかの段階があります。私の勤務している病院の搬送患者の多くは、中等症から重症の患者でした。重症化を防ぐためにも熱中症になると体にどんな症状が出るのかを知っておくことが大切です。
熱中症のレベル別の症状をわかりやすく解説します。
軽症:めまい・立ちくらみ・筋肉痛・筋肉の硬直
体の中に熱がこもり始めた状態が、熱中症の初期症状であり軽症の状態です。早期に気づいて対処し、重症化を防ぐことができます。
暑さや湿度が高い環境では汗をかいてもうまく蒸発しにくくなり、体温がうまく下がらなくなります。結果的に体内に熱がたまりやすくなるのです。
熱中症の軽症時の具体的な症状は以下のとおりです。
- めまい
- 立ちくらみ
- 筋肉痛、筋肉の硬直
軽症の段階では自力で動けることが多いですが、少しずつ異変が起きています。私も病院勤務中は高温多湿の病室もあり熱中症リスクが高い環境にいるのですが、初期段階での対処を心がけています。初期症状を見逃さないことが、熱中症の重症化を防ぐ第一歩です。
引用元:
中等症:頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感
熱中症の中等症は、軽症からさらに進行し、体温を一定に保つ機能に異常が出始めた状態です。中等症の症状がみられる場合は医療機関での受診が必要になります。
体温調整がうまくいかずに脳や内臓、神経に支障をきたしている可能性があるからです。
熱中症の中等症時の具体的な症状は以下のとおりです。
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
- 倦怠感
- 虚脱感
- 意識の低下
高温時の看護の現場ではいつもと違う兆候を見逃さないことを注意しています。私自身、患者の小さな体調変化に気付けたことで大事に至らず済んだ経験があります。熱中症の中等症は軽症よりも体のダメージが進行しているため、医療機関をしっかり受診しましょう。
引用元:
内科医が解説「熱中症を見逃さないために知っておきたい基礎知識と対処法」
重症:意識障害・けいれん・手足の運動障害
熱中症の重症は、命にかかわる非常に危険な状態です。
体温の異常な上昇により脳や内臓の働きが著しく低下し、多臓器不全に陥る危険があります。
熱中症の重症時の具体的な症状は以下のとおりです。
- 意識がもうろうとする
- 反応がなくなる
- けいれんを起こす
- 歩行不能になる
- 体温が40℃を超える
- 汗が出ない
重症は緊急性が高く、命の危険があります。私が担当した患者の中には、周囲の人の対応が遅れたため、後遺症が残ったケースもありました。一刻も早い医療処置が命と予後を大きく左右します。
引用元:
内科医が解説「熱中症を見逃さないために知っておきたい基礎知識と対処法」
熱中症のレベル別の対処法
熱中症の症状に気付いたとき、早めに対処し重症化を防ぐことができます。私が熱中症患者の対応で注意していることは、現在の症状の改善と悪化の予防です。
次に、熱中症のレベル別の対処法を解説します。
軽症:涼しい場所へ移動し水分や塩分を補給する
熱中症の軽症の場合は、早めの対処が大切です。
軽症の段階で初期対応をおこなうことで、体温を戻す機能が回復しやすくなります。症状が軽いと体の不調に気づきにくく、症状が悪化する可能性があるので注意しましょう。
熱中症の軽症時の具体的な対処法は以下のとおりです。
- 涼しい場所に移動して休憩
- 水分と一緒に塩分も補給
- 衣類を緩めて風通しをよくする
私が担当した患者の中にも、初期症状を放っておいたために重症化してしまったケースがあります。「軽症だから大丈夫」と油断せず、体は疲れている可能性があるため早めの対処でしっかり休むことが大切です。
引用元:
内科医が解説「熱中症を見逃さないために知っておきたい基礎知識と対処法」
中等症:体を冷やし医療機関を受診する
熱中症が中等症以上の状態になった場合は、受診が必要です。
放置すると体温がさらに上昇し、脳や内臓に深刻なダメージを与える可能性があります。
熱中症の中等症時の具体的な対処法は以下のとおりです。
- 意識がはっきりしていても自力で動けない場合は、周りの人に助けを求める
- 衣類をゆるめて首や太ももなど、大きな血管が通っている部分を冷却
- 涼しい場所へ移動し、体調回復後も医療機関を受診する
私が担当した患者の中にも体調が改善したと自己判断で放置したために、さらに重症化して搬送されてきたケースがあります。重症化を防ぐためには、自己判断に頼らず医療機関を受診することが確実な方法です。
引用元:
内科医が解説「熱中症を見逃さないために知っておきたい基礎知識と対処法」
重症:すぐに救急車を呼ぶ
熱中症の重症の症状がみられたら、すぐに救急車を呼ぶことが大切です。
体温が異常に高くなり、脳や臓器の機能が急激に低下しています。意識障害やけいれんが現れると自力での回復が難しいため、救急処置が必要です。
熱中症の重症時の具体的な対処法は以下のとおりです。
- 重症者を安全な涼しい場所へ移す
- 衣類をゆるめて首や脇の下、足の付け根などを氷や冷たいタオルで冷却
- 誤嚥のリスクがあるため無理に水を飲ませない
- 救急車の到着まで呼びかけ続け、意識の変化を観察
私の病院に搬送されて来た重症患者の中には、周囲の人が対処法に迷い救急要請が遅れてしまったケースがあります。熱中症の重症症状がみられるときには迷わず119番へ通報し、救急車を呼びましょう。
引用元:
内科医が解説「熱中症を見逃さないために知っておきたい基礎知識と対処法」
熱中症の状況別の予防法

熱中症は正しい知識を得ることと、日頃の予防の意識で防ぎやすくなります。
特に暑さが厳しい季節には、体調管理や環境づくりがとても大切です。私は看護師として日々患者の様子を観察しながら、自分自身の体調管理にも気を配っています。
次に、熱中症を未然に防ぐ基本的な予防法について解説します。
屋内時:室温を下げる
屋内にいる時も、日常的な熱中症予防が大切です。私は病院で働く中で、屋内で体調を崩した高齢者や子どもを何人も見てきました。エアコンが嫌いだったり電気代が気になったりするなどの理由で、冷房を使わないケースも少なくありません。
気温が高い日には、気付かないうちに室温や湿度が高くなり、体内に熱がこもってしまうことがあるため、室温を管理しましょう。
屋内での具体的な対策は以下のとおりです。
- 日中はエアコンや扇風機を適切に使用
- 室温は28℃以下、湿度は60%以下を目安に調整
- 遮光カーテンで直射日光を避け通気をよくする
- 屋内でも喉が乾く前にこまめな水分補給
屋内だからと油断せず、涼しい環境をつくる意識が熱中症を防ぐ重要なポイントです。
引用元:
屋外時:直射日光を避けてこまめに水分補給する
屋外では、暑さから身を守る意識と、こまめな対策が熱中症予防につながります。私が屋外に出る際は、帽子か日傘を必ず持って出かけています。外気が暑くても日差しを遮ることで頭部の温度上昇を抑えられるからです。
直射日光や高温の影響で屋外では体温が急激に上昇しやすく、屋内よりも熱中症のリスクが高まります。
屋外での具体的な対策は以下のとおりです。
- 日傘や帽子で直射日光を避ける
- 通気性の良い衣服を着用する
- なるべく日陰を選んで行動する
- 長時間の外出は控え、疲れたら無理せず休憩する
- こまめに水分と塩分を補給する
屋外では日差しや暑さを軽視せず、状況に応じてこまめに対策しましょう。
引用元:
運動時:暑さに慣らしつつ服装に注意する
運動するときは、暑さへの備えとこまめな対策が熱中症予防のカギです。私は筋力づくりのために日ごろから運動するように心がけています。日常的に運動することで、体温が上昇して暑さに慣れると感じています。
もしも暑さに慣れていない状態で急に運動を始めると体温調整がうまく働かず、熱中症のリスクが高まるのです。
運動時の具体的な対策は以下のとおりです。
- 暑さに体を慣らすために、日陰での準備運動を行う
- 帽子や冷感インナー、速乾シャツを活用
- 冷たいタオルで首元を冷やす
体を動かすときは準備運動や水分補給、体の冷却を意識することが予防につながります。こまめに休憩をして、無理せず運動しましょう。
引用元:
熱中症対策グッズ

熱中症を予防するには日ごろの対策に加えて、便利なグッズを上手に活用することも大切です。私は病院の勤務中でも対策グッズを使用して熱中症予防をしています。対策グッズを使用することで勤務に集中できるようになりました。
次に、暑い季節を快適に過ごすために役立つ身近な熱中症対策グッズについて解説します。
体を直接冷やすアイテム
体を直接冷やすアイテムは、冷房設備が苦手な方も使いやすいアイテムです。勤務場所によっては冷房がつけられないところもあるため、処置中でも手がふさがらないようにネッククーラーを私はよく使用しています。
首や脇の下、太ももの付け根には大きな血管が通っており、直接冷やすことによって効果的に体温を下げられるためです。外出時の携帯用や運動時など用途によって使いやすいものを選びます。
体を直接冷やすアイテムは以下のとおりです。
- ネッククーラー:首につけられる
- 保冷材や冷却スプレー:どこにでも使用できる
- 冷感タオルや氷嚢:洗って繰り返し使用できる
体を直接冷やすアイテムは、冷房設備がない場所でも使用できるため手軽です。外出時も携帯し、こまめに体を冷やしましょう。
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空間を涼しく保つアイテム
空間の温度管理は熱中症予防の基本です。私は体質的に汗をかきにくいのですが、冷感ミストファンを愛用しています。ミストファンは水の気化熱を利用して体感温度を下げるため、特に汗をかきにくい方でも効率的に体を冷やす効果が期待できます。
気温や湿度を下げることで、体温調整機能の低下を防ぎ熱中症の予防につながるからです。
空間を涼しく保つアイテムは以下のとおりです。
- エアコン:部屋の温度を全体的に下げる
- サーキュレーター:エアコンと併用し空気を循環
- 冷感ミストファン:気化熱を利用できる
アイテムを組み合わせて空間を涼しく保つことで、熱中症を予防できます。空間を涼しく保ち、室内でも熱中症対策を心がけましょう。
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日差し対策アイテム
熱中症を防ぐためには日差しを遮るアイテムの活用が重要です。私は曇りの日でも日常から日傘をさす習慣をつけています。習慣にすると忘れにくくなるのでおすすめです。
日差し対策アイテムは、体温上昇の大きな原因となる直射日光を物理的に遮ってくれるため、熱中症予防に欠かせません。
日差しから身を守るアイテムは以下のとおりです。
- 日傘や帽子:頭部を守る
- UVカットのアームカバーやサングラス:肌や目を保護
- 冷感素材を使った日除けアイテム:こもった熱を抑える
日差しを遮り体温上昇を抑えて、熱中症のリスクを下げることができます。外出時はなるべくアイテムを持参し、直射日光を防ぎましょう。
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水分や塩分補給のアイテム
水分と塩分の補給アイテムは熱中症対策で重要です。私は職場の休憩室に水筒と塩飴を常備しています。医療処置中は感染用ガウンを着用するため、かなり汗をかきます。こまめな水分・塩分補給を日常から心がけることが大切です。
汗をかくと体内の水分と塩分が失われ体温調整がうまくできなくなるため、脱水やめまいなどを引き起こす可能性が高くなります。
水分や塩分補給アイテムは以下のとおりです。
- スポーツドリンクや経口補水液:手軽に水分と塩分をバランスよく補給できる
- 塩分タブレットや塩飴、ゼリー飲料:持ち歩きやすく外出時に便利
- 塩昆布や梅干し:食欲がない時でもひとつまみする
こまめな水分・塩分補給を心がけることは熱中症予防の基本になります。室内にいる時も油断せず、摂取するようにしましょう。
引用元:
涼しく快適な衣類
涼しく快適な衣類の選び方も熱中症予防につながります。私は体力づくりのため週2回の運動をしていますが、運動の際は速乾素材の半袖半ズボンの着用を心がけています。快適に運動するためには素材選びは大切です。
一方で、厚手や通気性の悪い服は熱をこもらせ体温の上昇を早めてしまうため、熱中症のリスクが高まります。
涼しく快適な衣類は以下のとおりです。
- 冷感シャツ:熱を逃がしやすい
- 速乾シャツ:汗を素早く乾かし熱のこもりを防ぐ
- 冷感素材の服やUVカット機能付きのアイテム:暑さや日差しを抑えられる
- 淡い色の服:太陽光を吸収しにくいので体温上昇を防ぐ
服装を見直すだけで、日常の中で無理なく熱中症を予防できます。外出時は気温を確認し、服装を考えてから外出するようにしましょう。
引用元:
まとめ 熱中症の疑いがあればすぐに対処しよう
今回は、熱中症のレベル別の症状や対策や予防法について解説しました。
熱中症は誰にでも起こりうる身近なもので、熱中症のレベルによっては命にかかわることがある病気です。しかし、適切な対策を知ることで、重症化を防げます。
私自身、患者の小さな変化に気付けたことで大事に至らず済んだ経験が何度もあります。違和感があれば無理せず受診を検討してください。
熱中症の疑いがあるときは早めの対処を心がけ、日ごろから予防することが大切です。暑い夏も、対策グッズを上手に取り入れて快適に過ごすことができます。
まずは熱中症の症状についてしっかりと把握し、熱中症にならない対策をしましょう。
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